「総司の恋の相手だったのでは？」
と噂される女性たちの中で、唯一名前が分かっている人がいます。
その人の名は、キン。
七条油小路にあった、里茂という旅籠の娘さんだそうです。
沖田総司が不倫の恋？
なんかイメージちがうけど･･･
こんな噂が立つくらいですから、きっと親しくはしていたんじゃないでしょうか。
総司がキンさんに親近感を持つようになったキッカケにも、なんとなく想像が付きます。
キンさんって、総司のお姉さんと同じ名なんですよね。
「やあ、キンさんと仰るんですか。うちの2番目の姉と同じ名ですよ！」
こんな感じだったんじゃないでしょうか。
しかし、この女性は人妻でした。
新庄藩の御徒歩小頭、酒井艦左衛門という人の奥方だったそうです。
もし総司と恋愛関係にあったとしたら、不倫ということになってしまいます。
不倫は、総司たちが生きていた江戸後期頃には大抵はお金で解決できる問題になっていたそうですが、江戸時代の中期ごろまでは、死罪に値する罪でした。
新選組隊内でも、人妻との不倫がバレて「士道不覚悟」の咎で処断された隊士もいるくらいです。
ですから、総司が人妻と通じていたという話が事実だとすれば、かなりリスクが高い相手ということになります。
そんな相手と、後世に名が残るほど大っぴらに付き合うものでしょうか。
堂々と仲良くしていたなら、それこそ疚しいところのない関係だった証では、とも考えられます。
キンとの付き合いは
近藤勇に反対されなかったのだろうか？
キンさんは、時期は不明ながら、最終的に酒井艦左衛門とは離縁しているそうです。
もし総司と付き合い始めたのが離縁後なら、不倫云々の問題はありません。
しかし、だとしても、彼女もいわゆる一般人で、堅気の女性です。
初婚でない、という点以外は「医者の娘」と条件はそう変わらなかったはずですが、ここで、近藤の「待った」は掛からなかったのでしょうか。
本当に総司が愛した女性のことなら、近藤が関知しないということはないでしょうし、関知していたなら、医者の娘の場合と同様、反対に遭いそうなものです。
反対するもしないも、総司とキンさんの恋愛という事実そのものがなかったんじゃないかなぁ･･･。
もしくは「男女の関係はあったけれど、将来一緒になりたいと考えるほどでもない」という程度の付き合いだったため、勇も問題視しなかった、とか。
でもそういうのは、「愛した娘の事を、涙を浮かべて語った」という一途な総司のイメージとは、あまりそぐわないような気もしますね。
キンは別の隊士の恋人？
このキンさんに関しては、そもそも総司ではなく、別の新選組隊士と付き合っていたという説もあります。
その隊士との別れ話が拗れて、刃傷沙汰になったところを総司が仲裁したとか、隊士2名が彼女を奪い合って斬りあいになったのを総司が仲裁したとか…。
いずれにせよ、真相は不明･･･。
総司の恋は謎だらけです。
そもそも、沖田総司って誰だっけ？という方は、「沖田総司の基本情報」へどうぞ